概要
青年教育を目的とするパリのカトリック修道会・マリア会の要請で会員である5人の宣教師(アルフォンス・ヘンリック、ニコラス・ワルテル、ジョセフ・セネンツ、ルイ・シュトルツ、カミーユ・プランシュ)が1888年(明治21年)1月来日し、東京府東京市京橋区築地のカトリック築地教会の敷地内に神学校として開設した家塾が暁星学園の母体である。
同年8月に麹町区元薗町2丁目4番地の借家を校舎とする私立暁星学校が設立認可される。1890年(明治23年)には現在地に移転し旧制暁星小学校の設立が認可される。1899年(明治32年)には旧制暁星中学校が設立認可される。
その後関東大震災、太平洋戦争を通じて校舎など大きな打撃を受けるが、戦後新学制となり、1947年(昭和22年)新制暁星中学校、翌年には新制暁星高等学校が発足し現在に至る。
『キリスト教の理念に基づく教育により、 人格の完成をめざすと共に社会の福祉に努める人物を育成すること』を建学の精神としている。
フランス語教育を行っており、中学進学時に、第1外国語を英語とフランス語から選択し、他方を第2外国語として中学3年時まで学習する。高校3年までフランス語を第1外国語として履修した者のうち優秀者はバカロレアと同等の資格を得ることができる。
またスポーツに関しては学園を挙げてサッカーを奨励しており、授業前と放課後の練習が必須となっている。サッカー部に関してはその歴史は古く、現在のようにサッカー人気となる前の80年代までは全国高校サッカー選手権にたびたび出場するほどの強豪校である。
制服は7つボタン式の詰襟学生服で、両襟に金モールで刺繍した校章が付く他、後身頃のステッチや夏服生地の灰緑色が特徴的である。制帽、制靴に靴下の色、鞄に至るまでトータルにデザインされている。フランスのサン・シール陸軍士官学校の制服をモデルとしたもので、大幅な改定をせずに当初からの制式を守り続けている。国内の姉妹校である光星、明星、海星の男子生徒も同形式の制服を着用している[3]。
2002年(平成14年)度以降、帰国生徒枠編入以外、高等学校からの新入生募集は停止している。
沿革
1923年(大正12年)の関東大震災では校舎に引火し被害が甚大なものとなったが、ローマ教皇庁はじめ世界中の国々からの浄財が集められ1925年(大正14年)に校舎が再建された。太平洋戦争中の学童疎開においては、暁星疎開学園委員会を結成し軽井沢や箱根、山梨に分かれて疎開した。
1919年(大正8年)には、卒業生にフランスのバカロレアと同等の資格が与えられている。
年表
1888年(明治21年)2月 - 東京府東京市京橋区築地明石町にマリア会の神父アルフォンス・ヘンリックらが小規模の学校を設立。
1888年(明治21年)7月 - 東京府東京市麹町区元薗町に移転、暁星学校と命名される。
1890年(明治23年)7月 - 東京府東京市麹町区富士見(現在地)に移転。
1899年(明治32年)10月 - 旧制中学校として暁星中学校開校。
1902年(明治35年)5月 - 制服の制定。
1919年(大正8年)5月 - 卒業生にフランスのバカロレアと同資格が与えられることになる。
1936年(昭和11年)3月 - 校歌制定(北原白秋作詞・山田耕筰作曲)。
1947年(昭和22年)4月 - 学校教育法の施行により、新制中学校での授業開始。
1948年(昭和23年)4月 - 暁星高等学校開校。
教育
学内では中学校が1 - 3年生、高等学校が4 - 6年生と呼称され、実質上1つの学校となっている。
中学3年時より主要教科(外国語・数学)は習熟度別編成になり、高校2年時で文系・理系選択を行う[4]。医師の息子が多いため理系を選択する学生が多く、その大半が医学部を志望する。そのためか数学・理科に関してはハイレベルな授業が展開されている。
数学はオリジナルの教科書を用いており、英語においても旧来より、ロバート・M・フリン神父著、イエズス会編纂の『Progress in English』シリーズを教科用図書として採択している。
また先述の通り、フランス語教育を行っている。毎年6月頃には「フランス語フェスティバル」が行われ、暁星の他白百合・雙葉・カリタス・聖ドミニコなどの学校からフランス語を第1外国語として履修する生徒が集まり、フランス語による劇やスピーチが行われる。黄緑色の『Premier Livre』からステップごとの色別表紙が施されるテキストは本校編纂であり、これらのフランス語教育を行うカトリック系各校で利用されている。
また、週に1時間宗教の授業が「道徳」に代わり行われる。もちろん宗教とはキリスト教(カトリック)のことであり、神父や神学校(上智大学の神学科など)を卒業した教師により聖書の朗読や読解、キリスト教宗教学の授業が行われる。
その他
2000年度(平成12年度)まで学食であった「大平食堂」は廃業。現在の学食はシダックスが運営。「大平食堂」のオーナーであった大平義道は2006年(平成18年)7月に死去。
主に在日フランス人子弟や邦人の帰国生徒が通うリセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京(旧称あけぼの学園)がシャミナード修道院側隣接地(小学校対面)にあったが、今は高層マンションとなっている。
学校行事
1学期
4月 入学式
5月 1学期中間試験
6月 修学旅行(高2)
7月 1学期末試験
2学期
9月
10月 文化祭・2学期中間試験
11月 研修旅行(中3)
12月 2学期末試験
3学期
1月 サッカー大会
2月 入学試験
3月 3学期末試験・卒業式
クラブ活動
部活動は盛んであり、特にサッカー部は強豪。
前述の通り学園を挙げてサッカーを奨励しており、サッカー部は日本サッカー協会より歴史が古い。これは学校がフランス人によって設立されたことに由来する。他のサッカー強豪校と異なりスポーツ推薦制度を採用していないが、高校は全国大会に10回の出場経験がある(ちなみに東京都では帝京高校に次ぎ2番目に出場回数が多い)。 中学は近年連続で全国大会に出場しており、2000年(平成12年)から2年連続で全国制覇を果たしている。中学校では毎年2月に各学年で「サッカー大会」が開催される。
また、かるた部も全国的に強く、団体は2004・2005年度に悲願の全国優勝2連覇を果たし、2008 - 2011年度に史上2校目の4連覇を果たした。他にもスキー部が国体・インターハイ・関東大会の常連、バレーボール部・テニス部・陸上部が東京都大会や関東大会の常連である。近年では鉄道研究部も毎年部員がフォトコンテスト等で入賞するなどの業績を持ち、活動が注目されている。
化学部
生物部
音楽部
鉄道研究部
仏語部
写真部
将棋部
物理部
室内楽研究部
競技かるた部
コンピュータ部
演劇部
数学研究部
チェス部
放送部
軟式野球部
バスケットボール部
サッカー部
陸上競技部
バレーボール部
卓球部
ソフトテニス部
山岳部
剣道部
水泳部
テニス部
スキー部
交通アクセス
JR飯田橋駅西口より徒歩10分
地下鉄九段下駅1番出口より徒歩5分
著名な出身者
公人
大石正光(現参議院議員、元衆議院議員)
大場智満(財務官)
柏木雄介(財務官)
河村悦孝(元駐モロッコ大使)
来栖良(陸軍軍人)
佐藤俊一(元駐ベルギー大使)
砂田重民(元自由民主党衆議院議員)
田中龍夫(衆議院議員、元通産相)
塚越賢爾(航空機関士・神風号での欧州訪問飛行で世界的英雄となった。)
寺崎英成(外交官、宮内庁御用掛)
谷村裕(大蔵事務次官、公正取引委員会委員長、東京証券取引所理事長)
楢橋進(元自由民主党衆議院議員)
成澤廣修(東京都文京区区長)
西村元彦(駐ポルトガル大使)
松井明(駐仏・駐セイロン大使、対日講和会議全権委員)
松平永芳(海軍軍人、陸上自衛官、神官)
松永信雄(駐米大使、外務事務次官 / 編入)
本野盛幸(駐仏大使、日仏会館理事長)
山本信次郎(海軍軍人)
山本剛正(元衆議院議員) *
法曹
飛松純一(弁護士)
山田慎吾(弁護士、西村あさひ法律事務所)
後藤晃輔(弁護士、中村・角田・松本法律事務所)
折田裕彦(弁護士、法律事務所ASCOPEパートナー弁護士)
学者・文化人
石井直方(東京大学教授 生理学・筋生理学・運動生理学)
中川恵一(東京大学准教授 放射線医学)
岡田英弘(歴史家、東京外国語大学名誉教授)
時枝誠記(言語学者)
吉田健一(英文学者)
渡辺一夫(フランス文学者)
串田孫一(詩人、哲学者、随筆家)
平野威馬雄(詩人、仏文学者)中退
白井浩司(仏文学者)
森有正(哲学者、仏文学者)=初代文部大臣、森有礼の孫
金子光晴(詩人)
小牧近江(中退)(翻訳家、社会運動家)
深田祐介(作家)
倉田保雄(国際問題評論家、エッセイスト)
戸板康二(演劇・歌舞伎評論家、推理作家、随筆家)
岡田恵和(脚本家)
夏目伸六(随筆家、夏目漱石の二男)
野村芳太郎(映画監督)
勅使河原宏(華道家、映画監督)
菊池武夫(ファッションデザイナー)
長谷川路可(日本画家、フレスコ作家)
釘町彰 (画家)
山本耀司 (ファッションデザイナー)
柳原尚之 (料理研究家)
音楽
片山杜秀(音楽評論家、右翼思想研究家)
鷺巣詩郎(作曲家、アレンジャー)
柴田南雄(作曲家、音楽評論家、音楽学者)
福島和夫(作曲家、音楽学者)
松平頼暁(現代音楽作曲家)
松平頼則(作曲家、ピアニスト)
草野浩二(音楽プロデューサー)
村井邦彦(作曲家、音楽プロデューサー)
諸井誠(作曲家、音楽評論家)
矢代秋雄(作曲家)
齋藤秀雄(チェロ奏者、指揮者)
夏目純一(ヴァイオリニスト、夏目漱石の長男)
山本達彦(シンガーソングライター)
渡辺香津美(ギタリスト)
藤村俊介(チェロ奏者)
芸能
七代目尾上梅幸(歌舞伎役者)
四代目市川猿之助(歌舞伎役者)
七代目市川染五郎(歌舞伎役者)
四代目河原崎権十郎(歌舞伎役者)
十八代目中村勘三郎(歌舞伎役者)
二代目中村吉右衛門(歌舞伎役者)
二代目中村錦之助(歌舞伎役者)
九代目松本幸四郎(歌舞伎役者、俳優、舞踊家)
香川照之(九代目市川中車)(俳優、歌舞伎役者)
東千代之介(俳優)
西川右近(中退)(舞踊家)
松村達雄(俳優)
石濱朗(俳優)
北大路欣也(俳優)
徳大寺伸(俳優)
細川俊夫(俳優)
峰岸徹(俳優)
エド山口(タレント)
モト冬樹(タレント、歌手、ギタリスト)
グッチ裕三(タレント、歌手)
藤村俊二(タレント、俳優、振付師)
三波豊和(タレント、歌手、俳優)
石橋エータロー(ミュージシャン、タレント)
犬塚弘(ミュージシャン、俳優)
桜井センリ(ミュージシャン、コメディアン、俳優)
椿姫彩菜(モデル)
ベガス味岡(通販マン)
村井研次郎(ミュージシャン)
目黒大樹(俳優)
上野隆博(ダンサー)
賀来賢人(俳優)
平岳大 (俳優)
片山明彦(俳優)
スポーツ
石川健太郎(元プロサッカー選手)
大倉智(元プロサッカー選手)
藤川孝幸(元プロサッカー選手)
加藤善之(元プロサッカー選手)
田中謙吾(プロサッカー選手)
松木安太郎(高校在学中に転校)(元サッカー日本代表・元Jリーグ優勝監督)
前田遼一(サッカー日本代表・プロサッカー選手)
稲葉洸太郎(フットサル日本代表・フットサル選手)
北原亘(フットサル日本代表・プロフットサル選手)
星翔太(フットサル日本代表・プロフットサル選手)
須賀雄大(フウガすみだ監督)
その他
諸井虔(実業家)
堀義貴(実業家、ホリプロ社長)
野間省伸(実業家、講談社社長)
鳥羽博剛(アナウンサー)
寺川俊平(アナウンサー)
中井精也(鉄道カメラマン)
姉妹校
学校法人札幌光星学園(札幌光星中学校・高等学校)
学校法人大阪明星学園(明星中学校・高等学校)
学校法人海星学園(海星中学校・高等学校)
かつて姉妹校関係にあった学校セント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジ(廃校)
晃華学園中学校・高等学校(女子校。1961年に法人分離)
伝統的に交流がある学校麻布中学校・高等学校
芝中学校・高等学校